どんな作品?
本作は、人を操る悪魔の力「プロナント」を巡る、1人の悪魔と4人の少女の物語でしてよ。プレイヤーの選択が主人公の運命を左右し、9種類のエンディングへ。重厚な物語と骨太なバトルが見事に調和した、同人ゲーム好き必見のダークファンタジーRPGでございますわ。
今回は本作最高難易度(地獄)攻略メモも合わせてお届けいたしますの。


作品概要
- タイトル:プロナント・シンフォニー
- ジャンル:RPG(ダークファンタジー/マルチエンディング)
- サークル:E.B.
- 発売日:2017/05/01
- 価格:¥1,980
- プレイ時間:~15時間(フルコンプなら約50時間)
見どころ
- 見応え抜群のストーリー
本作は同作者様の『プロナント・ストーリー』をリメイクしたタイトル。評価の高かった物語性が大幅にブラッシュアップ、ボリューム増量されておりますの。作品コメントには「あなたは1匹の悪魔――敵も味方も男も女も意のままに操れ! 四人の少女を従者に冒険を楽しめる、マルチエンディングの本格RPG。」とありますけれど、実際は単なる暴虐の物語に非ず。
選択肢(自由行動を含む)が非常に豊富で、善にも悪にも染まれる多面性が魅力ですわ。雰囲気としては、往年の名作フリーRPG『月夜に響くノクターン Rebirth』のような重厚なダークファンタジーを思い浮かべていただくと近うございますの。
物語には幾度もターニングポイントが用意され、そこを乗り越える演出が殊のほか熱いのですわ。悪魔の業(プロナント)と仲間との絆を対置し、矛盾を抱えた主人公がいかにして結末へ辿り着くのか――9つの結末がそれぞれの回答を与えてくれますの。ピカレスク×ダークヒーローとして、完成度はとても高いですわ。
- 4人のヒロインの魅力
物語を彩るのは、個性たっぷりの4姉妹ヒロイン。プロナントの影響下にあるがゆえ、主人公への“親愛”は常に明るく、細やかな小イベントの積み重ねで情が芽生えてしまうのが巧みでございますわ。主人公は当初、彼女たちを手駒と見なしますけれど、やがてその魅力に絆されていく――プレイヤーが感情移入しやすい設計が見事ですの。
ただし、プロナントの力を欲望のままに振るうなら、そこは地獄への道。本作のHシーンの多くはその力に起因し、愛着の湧いたヒロインに対する容赦なき描写もございますわ。彼女たちを破滅へ導くのか、悪魔の力に抗い善を貫くのか――すべてはあなたの選択次第でしてよ。
わたくしの推しは三女イリト(青髪の子ですわ)。世話焼きタイプのツンデレでありながら、常に主人公に寄り添う優しさが尊いのですわ。戦闘面では主力アタッカーとして八面六臂の活躍。メタ的にも頼れる、実に良き子でございますの。
- やり込み要素とゲーム性
コマンド選択式RPGながら、装備・スキル構築を怠ると前に進めない本格派。プロナントを用いれば楽にもなりますけれど、それ自体が主人公の生き方を映す鏡でございますわ。
難易度:簡単/ふつう/地獄(戦闘回数250回以下でのクリアを目指す詰み将棋的モード)
ダンジョン:固定マップ方式。自動ミニマップが便利で探索がはかどりますの。
エンカウント:ランダム+シンボルのハイブリッド。基本は4姉妹が戦い、主人公はニートという立ち回りが基軸でしてよ。
“場”システム:例えば「火」なら火属性強化など、戦況を左右。スキルで塗り替え可能ゆえ、主導権を握ることが肝要ですわ。
スキル装備:最大4枠。敵に応じて随時入れ替えが求められる緊張感が素敵。
装備合成&探索:要素が細やかですから、NPCの話は必ず拝聴なさって。
物語分岐とマルチエンディング(全9種):
善・悪の大まかルート分岐は明快で、ヒロインにプロナントを使う等の大きな悪事を働いた時点で善ルートからは外れてしまいますの。NPCがそれとなく教えてくれますから、初見でも迷いにくい設計が好印象。なお、「1」キーの“情報の獲得”は悪行カウント対象外。遠慮なく活用なさいませ。そこからの詳細なルート分岐につきましては、ヒロインの好感度や作中での重要な選択肢の結果など、様々な要素がありますの。ちなみに、善ルートが6つ(善ノーマル・各ヒロイン4種・トゥルー)、悪ルートが3つございますわ。
善・悪ルートでそれぞれ一部施設が使えなくなることもございますけれど、ストーリー進行に支障はなし。ただし後戻りはできないので、どちらの道を選ぶか、事前に方針を定めて臨むのが吉でしてよ。
こんな方におすすめ
- 重厚な同人RPGを腰を据えて楽しみたい方
- ダークファンタジーRPGの道徳的ジレンマに酔いしれたい方
- マルチエンディングの分岐を自らの手で切り拓きたい方
- 骨太な戦略性とやり込みで夜更かししたい方
総評
夜ふかし度:★★★★★

フルコンプリートに50時間も費やしてしまいましたわ……けれど、悔いなど微塵もございませんの。Hシーンは充実しておりますが、それ以上にストーリーとゲーム性が圧倒的。ヒロインは皆、愛すべき存在で、激アツのラストは必見ですわ。
『プロナント・シンフォニー』レビューの結びとして――同人RPGを物語とシステムの両輪で味わいたい貴方に、心から推薦いたしますの。どうぞ、あなたの選択で結末を掴み取ってくださいませ。